2026/02/19未分類
「“カスハラ対策が義務化される”って聞いたけど、正直、企業としてどんな対策をしたらいいの…?」
そんな声を多くの経営者の方からお聞きします。
近年、顧客からの暴言や威圧的な言動、過度な要求といった「カスタマーハラスメント(カスハラ)」が社会問題となり、従業員の離職やメンタル不調につながるケースも増えています。こうした背景を受け、令和7年(2025年)6月に改正法案が可決・成立により(2026年10月に施行予定)、企業にはカスハラを防止するための体制整備が義務付けられることになりました。
とはいえ、具体的にどのような取り組みが必要となるのかについては、今後公表されていきますので、本コラムでは、カスタマーハラスメントとは何か、今回の法改正で何が求められるのか、そして企業として今からできる準備について、できるだけ分かりやすく整理していきます。
「カスハラ」とは、顧客や取引先などからの暴言、脅迫的な言動、理不尽な要求、長時間にわたる執拗なクレームなど、社会通念上行き過ぎた迷惑行為を指します。
もちろん、お客様からのご意見やご指摘そのものが悪いわけではありません。むしろ、サービス向上や商品改善のヒントになる大切な声でもあります。
しかし問題なのは、「改善を求める声」の域を超えた言動です。過度な謝罪や金銭を執拗に求める、不当な言いがかりをつける、人格を否定するような暴言を浴びせる――
こうした行為は、正当なクレームとは別物です。
このような悪質な対応は、従業員の心身に大きな負担を与えるだけでなく、職場の雰囲気悪化や離職、企業イメージの低下など、経営にも影響を及ぼすことが想定されます。
そのため、企業は従業員を守りながら健全なサービス提供を続けていくための土台づくりが求められます。
業種や業態により態様は異なりますが、一般にカスハラに該当しうるものとして、以下のような場合や言動が想定されます。(厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」より)
① 顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合
・企業等の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
・要求内容が、企業等の提供する商品・サービスとは関係がない場合
② 要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動
<要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの>
・身体的・物理的な攻撃(暴行・傷害)
・精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言)
・威圧的な言動
・継続的な、執拗な言動
・拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)
・差別的な言動
・性的な言動
・従業員個人への攻撃・要求
・土下座の要求
<要求内容の妥当性に照らし不相当とされる場合があるもの>
・商品交換の要求
・金銭補償の要求
・謝罪の要求(注)
(注)土下座の要求は要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いものと想定されています。なお、カスハラに類する行為は、暴行罪、器物損壊罪などの犯罪行為にも該当する可能性があります。

カスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ)は、
従業員の心身の健康や職場環境に重大な影響を与える問題です。
企業には、従業員を守るための具体的な体制整備が求められています。
対策は大きく「事前の準備」と「発生後の対応」に分けて考えることが重要です。
【1】カスハラを想定した事前の準備
①被害を受けた従業員の相談対応体制の整備
②対応方法・手順の策定
③従業員への社内対応ルールの教育・研修
【2】実際にカスハラが発生した場合の対応
④ 事実関係の正確な確認と適切な対応
⑤被害を受けた従業員への配慮措置
⑥再発防止策の検討・実施
【重要】相談者の保護
あわせて、
・相談内容のプライバシー保護
・相談したことを理由とする不利益取扱いの禁止
を明確に定め、従業員へ周知することが不可欠です。
安心して声を上げられる環境がなければ、対策は機能しません。
本来、顧客である消費者が企業等に正当な意見を伝えることは、商品・サービスの改善を促すことなどにつながり、特に、企業等が提供する商品・サービスに対する申入れは、消費者としての正当な権利に当たります。顧客が企業等に対して正当な意見を伝える適切な方法を理解することで、顧客の声は企業等に受け止められ、顧客と企業双方の信頼関係が構築されます。顧客と従業員などとの間で「勘違い」「すれ違い」を招かない上手なコミュニケーションがカスハラ問題の解決の糸口になります。
商品・サービスをめぐって意見が合わないことがあっても、ヒートアップしないようお互いさまの気持ちを持ち、理解しながら、カスハラ防止に取り組みましょう。
RITARMでは、今回のように新たに可決された法改正に対応した就業規則の見直しや作成、実態に合った労働環境づくりのサポートを行っています。
法改正は次々と行われ、その都度内容を把握し、自社に落とし込むのは簡単なことではありません。
「今の就業規則、このままで大丈夫かな?」
「最新の法改正まで正直追いきれない…」
そんなふうに感じられている経営者の方も多いのではないでしょうか。
今の労務環境を一度整理したい方、
これからの法改正にきちんと備えておきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
“作るだけ”ではなく、実際に機能する形まで一緒に整えていきます。
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